- 2012.06.08
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選果場のガラパゴス
yasさんからの投稿です。
初夏になり選果場の急な求人が入っているようです。
どうしても出荷の時期が重なるので大量の求人が短期間に集中することになり、
どこも人材の確保におおわらわです。
ただしその求人には「日本人の女性に限る」という条件がつくようです。
根気の要る選果作業に女性が向いているというのはともかく、
日本人という部分は不当な差別というわけでもないようです。
おそらく日本人が果物や野菜に要求する基準というのは世界一厳しいと思います。
スペインで見た無選果とも思えるリンゴに思わず
「馬が食べるリンゴ」といったことがありますが、
形や大きさが寸分違わぬ日本のリンゴを見慣れた目にはそう思えても不思議はないです。
その日本の基準を外国人に理解させるのは大変困難であろうと想像できます。
海外で日本向けに野菜を生産するのにも大変な苦労があったと聞いています。
主に携帯電話などで「ガラパゴス化」ということが言われています。
私は「ガラケー」が「ガラパゴス携帯」の略だとしばらく知りませんでしたが。
イグアナもフィンチもガラパゴスという閉ざされた環境に適応した形で究極の進化を遂げました。
外界から隔絶された孤島の環境ではそれでも良かったのですが、
ひとたび外界との交流が始まれば特殊環境に適応した生物は一気に衰亡への道を歩むことになります。
日本人が果物や野菜に求める病的ともいえる潔癖性は一面では強みでもあります。
おそらく世界一な日本の工業製品の品質はその表れでしょう。
しかしながら世界的に見れば特殊な規格を無下に押し付けるのは大変危険なことです。
特にその規格を維持するために外国人の力を借りなければならない状況になればなおさらです。
日本に国力があるうちならいいのですがそれが失われればすべては一気に反転します。
その変化に対応できるだけの柔軟さは 持ち合わせていなければなりません。
これからも生き残っていくためには。少しばかり不ぞろいな桃も喜んで食べるようにしましょう。