株式会社アンサーノックス

2010.10.19
旧ブログ

懐かしい未来

質問です。

次の4つの文章は日本語のとあることわざと同じ意味で使われます。
そのことわざとは何でしょうか?

non piangere sul latte versato (イタリア語)
não chore sobre o leite derramado (ポルトガル語)
It is no use crying over spilt milk (英語)
覆水難収 (中国語)

パソコンの上じゃないだけマシです

答えは、一度起きてしまった事は二度と元には戻らないという意味の
「覆水盆に返らず」です。

類義語として「後悔先に立たず」なんて言葉もあるように、どちらかと言えば
過去の出来事への反省、起きてしまったことへの諦めと言ったネガティヴな
意味合いで使われる事が多いことわざですが本当にそうなのでしょうか?

確かに過去に戻って問題の原因を正すことは不可能です。
だからこそ「未来のために今を大切にしよう」「後悔して立ち止まるのではなく
前に進もう」という前向きなメッセージが含まれているのではないかと
自分は勝手に解釈しています。

----- ちょっと余談 -----

ちなみに自分は「レトロフューチャー」と呼ばれるデザインが好きなのですが
数十年前の人たちが夢見た「未来の形」は今の時代から見た場合はレトロでも
その時代の人たちからしたら実現しなかった未来(ロストフューチャー)なのだと
考える何とも言えない不思議な気持ちになります。

チューブの中を車が走るのはいつになるのでしょうか・・・

実現しなかったからこそ「レトロフューチャー」という新しいジャンルを生み出し
今の時代(未来)でも生きているデザインといったところでしょうか。

----- 余談終了 -----

先日、今月末で契約終了となる東京のアパートの片付けに行った時の話。
ほとんど使う事もなく埃まみれになってしまわれていた食器類を洗っていると
東京で知り合った一番古い友人が「部屋の最期を見届ける」と訪ねてきました。

手に持った皿を見て彼は「あれ、見覚えのある皿」と声を上げました。

お互いすっかり忘れていたのですが15年程前に一緒に買い物に行き
それぞれが数枚ずつ買ったのがまさにその皿でした。

今の今まで忘れていたのに買った店の名や店内の様子やらが頭の中で
一気に蘇り、いつも以上に懐かしい話に花が咲きました。東京での暮らしを
ひととおり振り返ったその時間は東京生活の最後にふさわしい、楽しくて
ちょっと切ないひと時でした。

彼が帰った後、きれいになったその皿に心の中で「ありがとう」と言いながら
山梨に送るダンボール箱にそっとしまいました。

ホントはもっと安物の皿です(イメージ)

今、世の中は仕事を探すのにも苦労するような大変な時代です。
でも、そんな時代の中の何気ない出来事やちょっとした事柄がいつの日か
突然懐かしく蘇ることがあるかもしれません。

「覆水盆に返らず」と嘆く未来ではなく
「懐かしい未来」を迎えるために今できることを・・・

そう思いながら日々を過ごしたいですね。

MORI cozy-e