- 2015.04.14
- 旧ブログ
叶った春「入学おめでとう」
こんにちは、アンサーノックスです。
ブラジル人のCさんから、どうしてもカオリさんに会わせたい人がいるから時間を取ってほしいと言われ、
パブロくんはアンサーノックスを訪ねてくれました。
笑顔で手土産のお菓子(和菓子の詰め合わせ)と手紙を渡す彼。
私はまったく記憶になくて、おかしな顔をしていたかもしれません。
Cさんも「パブロがカオリさんに会うのは初めてです。」
「でもパブロはずっとカオリさんに会いたかったです。」
私はますますわけがわかりませんでした。
Cさん「カオリはもう忘れたかな。2年前の…」
今から2年前。
在日ブラジル人のCさんを通じて1件の相談がありました。
15歳で来日したブラジル人の男の子パブロくん。
日本でいうと中学3年生に編入する予定でした。
同級生は3週間後には卒業予定です。
が、中学校からは3週間だけ在学予定の彼には卒業証書は出せないと言われてしまいました。
ならば…ご両親の希望は、留年して4月からもう一度中学3年生をやり直せないかということ。
日本の義務教育ではそれも叶いませんでした。
となると、彼は今後どれだけ勉強をしても、中学の卒業資格を得ることはできず、
高校進学もできなくなってしまいます。
そんな状況を心配したCさんからアンサーノックスに相談があり、
3週間の在学だけれども、卒業証書をいただくことができないかどうかを
パブロくんのお母さんと一緒に教育委員会にお願いにあがりました。
無事卒業証書を頂くことはできたと聞いていましたが、その後のことは全く知らず、
彼のことも、そんな出来事があったこともすっかり忘れていました。
中学校に通うことができなかったパブロくん。
どうしても日本の学校で勉強をしたかったパブロくん。
日本語はひとことも話せなかったパブロくん。
自宅でひとりで勉強をして、無事に高校に合格したと報告にきてくれたのでした。
一度も会ったことのない私に、アルバイトで貯めたお金で日本式に和菓子の詰め合わせを買って、
日本語で書いた手紙を携えて、わざわざ報告に来てくれたのでした。
2年も前のこと、15歳の男の子が覚えていてくれたことも驚きです。
私だったら、周りの大人が環境を整えてくれることくらい当然だと思っていたと思います。
一度もあったことのない人にお礼をするなんてこと、思いつきもしなかったと思います。
何をやっても楽しい時期に、自分を律し、自宅でひとりで勉強をするなんてこと、
私には想像もつきません。
パブロくん、入学おめでとう。
あなた自身の姿が周りに勇気を与えられるようなお医者さんになって下さい。